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導入事例

CASE.2
Diversity and Inclusionの組織を目指して〜コニカミノルタの挑戦〜
コニカミノルタ株式会社 様

2017年4月、社長直轄組織として「ダイバーシティ推進室」を設立したコニカミノルタ社。
ダイバーシティを社内に浸透させるべく、
組織長を筆頭に、管理職、メンバークラスとワークショップ・職場での取り組みを展開しています。(現在も継続中)

今回、管理職以上の理解促進のためにワークショップでキーとなったのが、
タスク型とデモグラフィー型のダイバーシティ。
早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄氏の著書「ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学」の中に記載されているこのワードをヒントに、研修を実施。
多様性を活かした組織やチームをつくる上で必要な新たな視点が得られ、非常にわかりやすかったという参加者からの感想が多く挙がりました。
組織への浸透を目指す上で、目的や意義など共通の認識を持つことは必要不可欠。さらにその先の実行に促すため、何ができそうか考えるよいきっかけとなっている実感があります。

後日、推進をする上でヒントを与えてくれた入山教授への報告とともに、
入山教授、コニカミノルタ社ダイバーシティ推進室長の岩本氏、本施策のメインコンサルタント・ファシリテーターを務める池照氏との対談が実現しました。

ダイバーシティ推進に携わる皆様へ、
コニカミノルタ社の取り組みとともに、対談内容を紹介いたします。

コニカミノルタ株式会社 様
Client :
コニカミノルタ株式会社 設立:1936年12月22日
資本金:37,519百万円
従業員数:単体/5,770名 連結/43,979名 (2017年3月現在)
事業内容:オフィス事業/プロフェッショナルプリント事業/ヘルスケア事業/産業用材料・機器事業
HP:https://www.konicaminolta.com/jp-ja/index.html

入山 章栄氏 早稲田大学ビジネススクール准教授
慶応義塾大学経済学部卒、同大学院経済学研究科修士課程終了。三菱総合研究所で主に自動車メーカー・国内外政府機関への調査・コンサルティング業務に従事した後、2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院より、Ph.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。2013年から現職。

岩本 満美氏 コニカミノルタ株式会社 ダイバーシティ推進室 室長

池照 佳代氏 有限会社アイズプラス 代表取締役
「変態ミドル」の活用
池照:企業の中でダイバーシティを進める方法として、何が有効だと思いますか?

入山:まずはトップがダイバーシティの意味を徹底的に理解して、社内で語ることが重要です。会社でこれを行うには、良い点もあります。このような研修を続けていくと、会社の中間層にはたまに変な人がいて、そういう新しい視点をどんどん受け入れてくれる。僕はよく「変態ミドル」と呼んでいますが(笑)、大きな会社は変態ミドルが何人かいるのです。そういう人を中心にガンガン、ダイバーシティを導入し、そこから成功事例が出てくると一気に会社が変わるのです。

池照:研修ではこのタスク型、デモグラフィー型という視点をワークで理解する時間がありますが、これが出てきた瞬間に、参加者の皆さん、一瞬顔色が変わるのです。本当にここで新たな視点に気づかれてパアッと顔色が変わる人が数人います。「そうか、そういうことね」と。
私もそこでいつもお話しするのが、たとえばこの部屋に入ったときに、今日25人の受講者がいらっしゃって、私一人が女性で、25人全員中年の男性なのです。私にとっては、すごくモノカルチャーなところに入っていくんだけれども、タスク型ということを視点に入れた時点で、この25人には25通りの経験と知見と意見があるはず。そうやって考えていただくのがタスク型なんですと言うと、本当に顔色変わる方がいる。これが、先生のおっしゃる「変態ミドル」な方々なんですね(笑)。

入山:これは楽しみですね。一般論として、女性の社会参加が足りないという社会的意義も当然あるのですが、会社は当たり前ですけど業績を上げなかったら意味がないので、「ダイバーシティは業績を上げるのにつながりうるんだ」ということ。ただ、そこで言う業績というのは現状維持ではなくて、継続的な変化が必要ということなんです。研修では社内のデータなどを共有しながらまずは危機感からあおって、変化しないと潰れますよと。新しいことをやるときのいろいろな手段の一つがダイバーシティですというメッセージも加えていくべきです。

反対者が出てきたときに
入山:ダイバーシティと言うのは簡単なのですが、新しいことをするのは大変。大変な理由の一つが、ダイバーシティはタスク型もそうなのですが、逆に言うと多様な知見を持つ人が入ってくるわけですよね。デモグラフィー型でも一緒です。
多様な知見を持つ人が入ってくると何が起きるかというと、まさにこの中間管理職の方々によく申し上げるのですが、「ダイバーシティが起きると、皆さんの意見に反対する人が出てきますよ」と。

岩本:マジョリティに対してということですか。

入山:そうです。日本の会社の多くは、意思決定の仕方が「全員賛成か、全員反対か」なのです。あるいは、だいたい方向性が決まったら、マイノリティが黙ってしまう。
だけど、多様な意見があるということは、それが良いことなわけですから、ものすごく議論がもめるのが普通なのです。もめて、もめて、最後6:4や5.5:4.5みたいな感じの多数決で決まって、そういうところで押し切った意見でないと、そういうものでないとイノベーティブなはずがない。「全会一致のイノベーション」なんて、あり得ないですから。多様な意見の人がいたら、そうならざるを得ないのです。
問題はそのときに、今までずっと全会一致で慣れてきた……会議でシャンシャンで決まるようなことに慣れてきた組織に、多様な人が入ると、違う意見をかたくなに主張する人が入ってくるわけです。それも、下手をするとそれは自分より若い女性の意見だったりするわけです。そういう人が「○○さん、あなたの意見、私は全然違うと思う」と言われたときに皆さん大丈夫ですか、という話をするのです。そっちの心構えはものすごく重要です。

インクルージョン、会社のビジョン
入山:つまり、ダイバーシティって、もう一つのキーワードである「インクルージョン」とワンセットなんですよ。多様な人を単純に入れてもハッピーになるわけではなくて、多様な人を受け入れられないといけない。そのときには、あなたより20歳若い異性の子が、「あんたのいうことには反対です」と言ってくるかもしれない。そのときに、「なんだ、おまえ」と思わないで、「そういう意見もあるな」というふうに思えるか。そのときに、何が重要か。僕は、会社のビジョンだと思うんです。
つまり、結局、この会社はどういう会社で、何を目指していて、これから10年、20年、30年先の大きな方向性で、世の中は30年後にこうなるから、それに対してこうやって食べていくんだというビジョンです。「うちの会社はこういうリソースがあって、30年後の社会はこうなるから、そうするとそれに対してうちはこういうリソースがある。こういうふうにしてお客さんに貢献して、それでバリューを出して、食べていきましょう。そのためにはこういう変革が必要なんだ」みたいなことが、ある程度、共有のビジョンがシェアされていないと、もめたままで終わるんですよ。だから、ビジョンはすごく重要です。

池照:その手段として、ダイバーシティを取り入れる、ということですね。ちょうど女性社員向けの研修は全部で4回開催のプログラムで構成していますが、この中で未来を予測し、リーダーの定義などをクラスごとに作るワークを取り入れています。

入山:あ、いいですね。日本企業はビジョンがないところが多いので。そうすると、多様な人だけ入っても、「この会社をどうするんだっけ?」ということで終わってしまいますので。

「なんとなく」と「腹落ち」
入山:多くの日本企業も一応ビジョンは掲げています。でも、多くの社員は「なんとなく分かっているだけ」なのです。でも、偉そうな言い方かもしれないけど、「なんとなく」では駄目なんです。本気で腹落ちしてくれないと。人間って腹落ちしないと変わらない。
やっぱり変化したくないじゃないですか、人間って。楽だから。そこで変わってもらうためには、本当に必要なんだと腹落ちしてもらう必要があって、ダイバーシティは、いちばん腹落ちしないまま動きが進んでいると思うんです。

池照:腹落ちって本当に難しくて、私はいつも当事者意識という話をするのですが、当事者意識では足りないと思っていまして。当事者意識ではなくて、本人が当事者になるかどうかというところまでストーリーを作れるかだと。

入山:問題は、「あなた、ダイバーシティのことを腹落ちして」と言っても、たぶんしないんですよ。というのは、会社の話だから自分ごとではないからです。だから、会社がこのままだと下手すると潰れますと。潰れるなかで変化しないといけないときにはイノベーションが必要で、そのためにはダイバーシティが必要なんだというのが、僕の個人的なロジックです。でも、普通に考えるとそうなると思います。それをちゃんと伝えきるのが、本当は重要だと思います。
でもここは本当にいちばん大事なところだと思う。何のためにやるんだということを、まず徹底的に突き詰めるということと、しつこいですが、ポイントはそれをみんな腹落ちしているかということ。なんとなく分かっている状態だと、やらないです。

池照:なんとなくは、分かっているんです。それをどうやって腹落ちまで持っていけるかというのが肝なんですね。一つ、先ほどご紹介したような自部門の現状をスコア化するとかいうワークは実施していますが、もう一押し必要な気がします。組織全体で自分たちが「当事者」となってムーブメントにしていかないとと思っています。

イントラパーソナル
・ダイバーシティ
イントラパーソナル・ダイバーシティ
入山:ダイバーシティの本質は、しつこいけど、多様な知見があって、組み合わされることです。だとすると、一つの考えは、組織に多様な知見を持った人が集まること。それがいま言われているタスク型のダイバーシティです。
それに対して、一人が多様な知見を持っても同じなのです。効果は一緒なのです。そう考えると、実はダイバーシティと言ったときに、コニカミノルタに多様な人を入れるのも重要なんだけど、同時に、コニカミノルタの社員一人一人が多様な経験や知見を持つことがとても重要です。そして、そういう人が、多様なことができるチャンスを提供することが重要。こういうのを専門用語で「イントラパーソナル・ダイバーシティ」と言います。僕はこれがすごく重要だと思っているのです。
つまり、ダイバーシティというのは、何のためにやるかというと、しつこいけど、イノベーションのためで、会社に新しい、幅広い知見が必要だからなんです。そのためには、やっていることは別に多様な人が入ろうが、一人の人が多様なことをやろうが、一緒なのです。
イントラパーソナル・ダイバーシティは、ここ10年くらいで急速に研究が高まっている。たぶんそういうのも考えたほうが良いと思う。クロスフィールズさんをご存じかもしれませんが、クロスフィールズは「留職」と言っていて、優秀な若手社員をタイやインドネシアなどの新興市場に連れていくようなことをやるんですよね。そういうことをやると、全然違う知見が手に入る。そうなるとイントラパーソナル・ダイバーシティが高まる可能性がある。
たとえば今ずっとコニカミノルタの中にいる人たちを、他の全然関係ない業界に送ってみるとか、副業を解禁するとか。そんなことも併せて考えてみたりするのも大事ですね。早稲田大学のビジネススクールに来るのも、そういう意味ではオススメですよ(笑)。本当に多様な人たちがいて、それぞれの問題意識で熱心に勉強していますから。

池照:個人内の価値観を多様化するイントラパーソナル・ダイバーシティは、組織のダイバーシティを進めるうえでも大事な視点ですね。
これも研修の中でやっているワークなのですが、ダイバーシティが起こすイノベーションとしてこれまでの事例をいくつか紹介し、グループごとにご自身たちを一つの事業グループや会社としてとらえた場合に“自らが起こせるダイバーシティを通した経営イノベーション”をディスカッションし、発表してもらっています。最初は自社の事業、自社のリソース、自社の視点からのみで考える方が多いのですが、ディスカッションするうちに互いに刺激されてさまざまなアイデアが出てきます。
自分たちの「本業」に少し異なる価値観を取り入れることで、これまでにない事業や、他の業態とのコラボレーションを創造する発表が出てきたりします。また、ディスカッションの中でも「組織として」だけでなく、「個人としての多様さ」の重要性が出てきたりします。まさにこれが、イントラパーソナル・ダイバーシティなんですね。

入山:そうですね、まさに! 「最近、思考が固まっているな……」「新しい考えが取り入れられてないな」と感じる方は、ぜひイントラパーソナル・ダイバーシティを広げるために社外などに出て、いろいろな価値観に触れてみると良いかもしれません。

池照:まずは一人から始められる「一人ダイバーシティ化」ですね。私自身ももっとそうしてみます! 先生、今日は貴重なお話をありがとうございました!

*日経BP社 ヒューマンキャピタルonline
“池照佳代の人事・人材育成担当者が読んでおきたい本”コーナーでは入山先生の書籍を紹介しています。
『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』
http://www.nikkeibp.co.jp/atclhco/15/410962/060800022/

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